海外製業務用3Dプリンターの強みと特徴・シェアは日本製を超越

3Dデータから実際に立体成型するマシン「3Dプリンター」。3Dプリンターは現在、一般家庭向けの安価な製品も発売されているものの、やはりビジネスシーンでよく使われていて、売り上げも増加しています。この記事では海外製の3Dプリンターに注目して、その強みや特徴をチェックしていきます。

海外製3Dプリンターの強み・特徴

3Dプリンター

3D CADや3Dスキャナーなどの機器で作った3Dデータから、実際に立体を成型する機械が3Dプリンターです。日本でも2010年代半ばに大きなブームが到来したことは記憶に新しいところです。ブーム以降、3Dプリンターは家庭への普及を目指しましたが、性能や造形品質の低さもあり、現在も販売されているものの、社会に完全に馴染むことはありませんでした。しかし、ビジネス向けの3Dプリンターに関しては、テクノロジーの発展もあり、売り上げは向上しています。この記事では海外製業務用3Dプリンターに注目して、その強みと特徴を探っていきたいと思います。

3Dプリンターの市場規模・企業価値

日本企業も3Dプリンターを製造していますが、世界市場において日本市場が占める割合をご存じでしょうか?その数字は2016年の調査では、なんと約3%。今後も日本市場は世界市場の伸びよりもゆっくりとした伸び率になると予想されています。すなわち、3Dプリンターの市場自体、海外のほうが規模が大きく、伸び率も大きいということになります。
また、3Dプリンターを製造する企業の価値ですが、日本の企業はトップ20にも入っていません。ドイツのEOSが約2800億円でトップに君臨し、その後に続くメーカーのほとんどがアメリカの企業です。精密機械メーカーといえば長い間、日本の誇るところでしたが、3Dプリントにおいては、日本は世界から後れをとっていると言わざるを得ません。もちろん、日本の精密機械製作会社も3Dプリントの研究に日々努力を続けていますが、現在の状況では海外メーカーの3Dプリンターが圧倒的に優位に立っています。

3Dプリンターは海外メーカーが強い

ここまでご紹介してきたように、3Dプリンター市場では海外メーカーが強さを発揮しています。日本では時々、海外メーカーの3Dプリンターについて、取り扱いやアフターサービスの点で懸念の声が聞こえてくることがありますが、業務用のモデルの場合は、このような心配の必要はありません。日本で販売されている業務用3Dプリンターは、当然ながら輸入・販売する代理店がありますので、代理店側で日本語説明書や日本語でのアフターサービスも行っています。1万円程度の激安3Dプリンターならいざ知らず、業務用の3Dプリンターで、もしも日本語の説明書が提供されないようなら問題でしょう。オンラインでの修理対応受付や各種ダウンロードサービスを行っているメーカーもありますので、海外メーカーの3Dプリンターでも日本での使用に不安はありません。

3Dプリンターの広がる活用法

海外では、3Dプリンターの活用範囲が特に広がっています。3Dプリンターは元々、試作品を作る目的で主に活用されていました。その精度やスピード、品質などを考えると量産には向かなかったことが理由です。しかし現在は、量産部品の製造が可能な3Dプリンターもあり、特に「自動車」「スポーツ用品」「航空」「建築」「医療・福祉機器」などの分野で、量産化が進んでいます。
自動車業界では、一部部品を3Dプリントにより調達しています。ドイツのBMWは古くから3Dプリンターを使用していることで知られていますが、2018年には20万点以上の部品を3Dプリントにて生産したそうです。
スポーツ用品では、やはりドイツのAdidasがスニーカーのソールの製作に3Dプリンターを使ったことが知られています。
航空業界ではアメリカのGEが、エンジンのパーツを3Dプリンターで製作することを決め、すでに連邦航空局の承認を得て、実際に出荷も始まっています。3Dプリンターは現段階でも大量生産に向くシステムではありませんが、特に発注数の少ない航空エンジン部品やロケットエンジン部品などの場合は、オーダーを受けた分だけ生産すればいいのでコスト削減につながり、また部品の軽量化も同時に進めることができます。
建築業界でも3Dプリンターの利用は進んでいて、2018年にはオランダで、3Dプリントによる「橋」が建造されました。
医療や福祉機器の分野でも3Dプリンターの活用が始まっています。これらの機器の場合は、オーダーメイドの比率が高いため、パーツをその都度生産することになりますが、このように大量生産が必要ないケースでは、3Dプリンターでの生産が有利になります。
このように3Dプリントによる画期的な動きがあるのは海外ばかり。なかなか日本から3Dプリンターに関する「良いニュース」は聞こえてきません。

日本の大手商社も海外3Dプリンターを販売

日本の精密機械メーカーの一部は、海外に拠点を置くなどして、3Dプリンターの生産や販路拡大に力を入れています。しかし、日本の商社やメーカーが海外メーカー製品の販売を日本で行うなど、日本の3Dプリント業界全体では3Dプリンターの研究開発には消極的なようにも見えます。
海外3Dプリンター大手の製品の国内販売は、某大手商社が行っています。この商社では、製品だけでなく、造形材料、製品のレンタルなどさまざまなサービスを提供し、業務用プリンターの販促に努めています。また、この商社では、海外発の3Dプリンター関連ニュースを定期的に紹介。海外における最新の3Dプリンター活用法やトレードショーレポートなど、3Dプリンターを扱う人や、これから導入を考える人に役立つ情報を提供しています。

多くの特許は海外メーカーが保有

3Dプリンターに関する特許保有数は、日本メーカーも健闘しているものの、やはり海外大手メーカーからは水をあけられています。3Dプリントの歴史が古いアメリカのメーカーは、3Dプリントのオリジナル技術「光造形方式」に関する主要な特許を保有していますが、今後、進歩していくであろう他の方式についてはドイツのメーカーが多くの主要な特許を握っています。特許を保有していればすばらしい、ということではありませんが、日本のメーカーが持つ特許は主要なものとは呼べないのが現状です。

海外製業務用3Dプリンターの強み

ここまでご紹介してきたように、海外製業務用3Dプリンターは現在、世界の3Dプリンター市場において大きなシェアを得ている状態です。
「日本の3Dプリンターは時代に取り残されている」とまでは言いませんが、現在の市場の状況を見る限り、あまり日本の3Dプリンター業界に明るい材料がないことは事実です。
日本でも業務用に3Dプリンターを導入するのであれば、海外メーカーの製品が現実的な選択肢になるでしょう。一部のメディアにおいては、海外メーカーの製品は、操作マニュアルが日本語で提供されなかったり、アフターサービスに不安があったり、という指摘もあるようですが、これらは一般家庭用3Dプリンターに関する不安であり、業務用3Dプリンターにおいては考えられないことです。
業務用3Dプリンターは、自社のニーズに合う製品選びがもっとも大切。「大きさ」「安定性」「精密な造形」「強度」「使いやすさ」そして「アフターサービス」。現状では、これらすべてにおいて多くの選択肢があるのが海外メーカーの3Dプリンターなのです。精密機械といえば日本のお家芸でもありますが、3Dプリンターの世界に限っては、海外メーカーの製品が一枚も二枚も上手なのが現状です。